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21/11/18 プレスリリース
言葉や文化の壁を乗り越えて。インド初外資系動物病院建設の舞台裏

アルダ インド工場設立
A’alda Pte.Ltd(以下、アルダ。本社:シンガポール)は20213月にビジネス都市として急成長を遂げたグルグラムに動物病院「DCC Animal Hospital」を建設、開院しました。外資系企業がインド国内に動物病院をオープンさせるのははじめてのこと。さらに言語、文化、商習慣の違いや、新型コロナウイルス(COVID-19)の流行による厳格なロックダウン政策など、開院までの道のりは平坦なものではありませんでした。今回はそんな建設プロジェクトの舞台裏をご紹介します。

 

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テナント入居か、建設か

動物病院を自分たちの手で立ち上げる。そのために収支や運営のさまざまなシミュレーションと並行してまずはじめたのが、場所探しでした。「プロジェクト開始当初は新規建設ではなく、テナント入居での運営を想定していました」。そう語るのは、現地でプロジェクトの陣頭指揮を執った権五勲(アルダCOO兼インド法人代表)です。デリー及びグルガオン市内で自ら足を運んだのは100箇所以上。しかし、どれも契約までには至りませんでした。「不動産に関するルールが複雑であり、実態との乖離もあるのが、インドで事業をはじめる際の難しさ。それをまざまざと体感することになりました」。条件に見合う物件が見つかり契約を結んでも、実際にはその建物に別のオーナーがいたということもインドでは珍しくありません。そのため、念には念を入れて確認作業をしているうちに、別の企業に契約の先を越されていたということもありました。

そんな矢先に、権は多くの外資系企業があつまるグルガオンで、ある土地と出会います。「知り合ったペットホテルのオーナーが、自分の土地に動物病院を建ててもいいと。我々としてはペットホテルとの事業連携も期待でき、悪い話ではありませんでした」。とは言え、一から動物病院を建設するとなるとコストや時間、リスクも大幅に増加します。「コストに関しては資金調達が順調に進んでいたので、問題になりませんでした。課題は時間やリスクですが、自分たちが実現しようとしているのは、インドはおろか、世界でもまだ誰も見たことがない動物病院。それを妥協せずに形にするには、テナントに入居するよりも自分たちで一からつくりあげる方が早く、確実だと判断しました」。

アルダ インド工場設立

 

ロックダウンの影響は多方面に

スクラッチでの動物病院建設へと大きく舵を切った「DCC Animal Hospital」プロジェクト。日本で活躍する獣医師や設計士のアドバイスを得て図面を完成させ、いよいよ工事がはじまったのも束の間、次なる困難が現地メンバーを襲います。「図面が出来上がったのが、2019年末。翌年頭から準備をし、着工した途端に新型コロナウイルス(COVID-19)の大流行がはじまりました」。2020130日に国内で最初の感染者が確認されて以降、急速に感染が拡大したインド。同年春には世界で最初に厳格なロックダウンが宣言されました。「当然、工事はすべて中断を余儀なくされました。しかし、ロックダウン自体は仕方がないこと。その間にできることをしようと、運営マニュアルや獣医師の教育カリキュラムの作成、電子カルテシステムといったITツールの開発など、工事以外の仕事を一気に進めていました」。都市封鎖が緩和され、再び工事ができるようになったのは同年夏のこと。しかし、そこでもまた、新たな課題と直面することになりました。「インド全土で工事が再開されたことで、資材や職人さんの価格が高騰。最終的にはテナント入居を検討していた頃と比べて、約5倍の初期投資となりました」。

工事が再開されると、予定通りに進まない工期をコントロールすることも、現地メンバーの大きな仕事になりました。建設現地と同じ敷地にあるペットホテルを事務所としていた権らメンバーは、交代で現場を監督。作業に遅れはないか、図面通りに工事が進んでいるかを現地作業員とともに随時確認。理想とするクオリティの動物病院を、一つひとつつくりあげていきました。

アルダ インド工場設立

 

成功の鍵は信頼できるパートナー

インド特有の不動産事情、新型コロナウイルスの流行など、課題があるたびに乗り越えてきた「DCC Animal Hospital」プロジェクト。その成功には、インドにおけるペット医療のパイオニアで、アルダのインドでの活動をともにするビノッド・シャルマ氏の存在が欠かせなかったと、権は振り返ります。「ビジネスをする上で言語の壁を越えることは、勉強さえすればさほど難しいことではありません。私も先方の言っていることを直訳して理解することに困難はありません。問題は、その言葉から何を読み取るか。そこのためには、その言葉を発した人が背景に持つ文化や習慣、感覚を理解することが不可欠です。外国人である私が、その理解を全員に対して持つことは事実上できません。しかし、ひとりとなら理解し合える。それが、シャルマ氏だったんです」。

もちろん、はじめからそのような関係だったわけではありません。ふたりの出会いは2019年の夏のこと。まだ動物病院を立ち上げることを検討している段階で、現地獣医師の視点でアドバイスをもらったのがはじまりでした。もともとインドで珍しい、ペット専門獣医師としての長いキャリアを持つシャルマ氏。権とディスカッションをする中で、「人と動物の幸せを実現する」というアルダの理念に共感し、本格的に参画することになりました。「シャルマ氏は我々との仕事が、獣医師としての自分のラストジョブだと言って仲間になってくれました。私たちも会社の情報を可能な限り共有したり、日本に招待したりと信頼関係の構築に努めました。しかしながら、その頃はあくまでもビジネスパートナーとして互いを認識していたと思います。それが一心同体、欠かせない存在になったのは、建設フェーズに本格的に入ってからですね」。それは着工の少し前、ふたりは何日にも渡って設計図面をレビューしていました。「獣医師としての意見、経営陣としての意見を、たった一枚のドアを設置するかどうかに対してもぶつけ合いました。あの時間があったから、このプロジェクトに対する相手の本気度を知ることができた。コミュニケーション量も圧倒的に増えて、年齢は離れていても人生の大切な友人になりました」。

アルダ インド工場設立

 

インドから世界へ、新しいペット医療を

着工からおよそ一年が過ぎた2021223日。開院式が行われたその日、グルガオンには、これまでの困難を乗り換えたメンバーを祝福するかのように青い空が広がっていました。式の参列者の中には在インド日本国大使館・渡辺一行一等書記官、ジェトロニューデリー事務所・村橋靖之所長のほか、インド獣医評議会・Umesh Sharma会長、Pradeep Yadav副会長といったインド獣医界のVIPの姿も。現地メディアも多数詰めかけ、一民間動物病院としては、異例とも言える注目の中での船出となりました。

これまでインドであまり重視されてこなかったペット医療の質の向上はもちろん、世界的にも類を見ない動物病院のDXに取り組む「DCC Animal Hospital」。開院以来、来院数は増加をつづけ、多くのペットオーナーから喜びの声をいただいています。しかし、アルダとDCC Animal Hospitalの活動ははじまったばかりです。動物病院に最適化された病院運営システム(HMS)や、ペットオーナーの満足度を向上させるスマートフォンアプリはアジアや欧米諸国でも展開する予定。その第一歩を、ここグルガオンで、確実に刻みはじめています。

アルダ インド工場設立

 

 

INFORMATION

DCC Animal Hospital & Petcare, Gurgaon
Jagdamba Farm, Carterpuri Marg, Sector 23A, Gurugram, Haryana – 122016
contact@dccpets.in
(+91) 9311560101

DCC Animal Hospital, Delhi
E-556, Greater Kailash-2, Upper Ground Floor, New Delhi 110048
contact@dccpets.in
(+91) 7428535050

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