News

22/08/10 Blog
【Masa’s Blog】vol.7 ペットの肥満について(A’ALDA代表 奥田昌道)

※本BLOGは声でもお楽しみいただけます。
 (対応ポッドキャスト:Spotify / Apple Podcasts / Google Podcast / Amazon Music / Anchor )

ペットの肥満は私たちが思っている以上に深刻な課題です。 実際に米国では50%以上のイヌとネコが肥満であると言われております。

2018年にAssociation for Pet Obesity Preventionという団体が、ペットオーナーと獣医師向けの調査を実施した結果、犬の55.8%そして猫の59.5%が過体重か肥満という結果となりました。 そして、80%の獣医師そして68%のペットオーナーが、「ペットの肥満解消のために何らかのアクションを起こした」と回答しております。 ペットオーナーが肥満解消に効果があったと感じたアクションとしては下記の結果となっております。

・食事量の調整
 ・非常に効果的: 38%
 ・やや効果的: 33%
・運動
 ・非常に効果的: 36%
 ・やや効果的: 30%
・低カロリーや低脂肪の食事
 ・非常に効果的: 9%
 ・やや効果的: 23%
・療法食
 ・非常に効果的: 13%
 ・やや効果的: 14%

出典:2018 Pet Obesity Survey Results (U.S. Pet Obesity Rates Plateau and Nutritional Confusion Grows)

私もでんの肥満解消に取り組んだことがあるのですが、個人的には食事量のコントロールが最も効果的だったと思います。運動量を増やすことによるカロリー消費ももちろん重要ですが、雨天時や仕事の都合上どうしても長時間散歩が出来ない日もあります。

ペットの肥満問題を解消していくためには、経験上難しいポイントがあります。

①肥満状態に気がつかない

毎日一緒にペットと過ごしていると、ペットオーナーはペットが肥満状態であることに全く気が付きません。少しぽっちゃりくらいなのかな、という認識はできても肥満・過体重であることに気が付かないです。特に大型犬だと気軽に体重を測れないのでより気づきにくいと思います。

②肥満状態に気がついても肥満解消の必要性を理解しない

仮にペットの肥満状態に気が付いても、ペットオーナー(と獣医師)が肥満解消することの必要性を腹落ちしてない。これは人間の世界でも同じことが言えるとは思います。自分自身が肥満であると分かりながら日々の行動を変えない(変えられない)人は非常に多いと思います。

日本人のメタボ割合も非常に高いので、この点の課題解決の難易度はとても高いと思います。20歳以上でメタボリックシンドロームが強く疑われる人は、男性28.2%、女性10.3%。40~74歳でみると、男性は約55%(強く疑われる人29.8%+予備群24.7%)、女性は約17%(強く疑われる人9.5%+予備群7.2%)が、メタボリックシンドロームに要注意という結果となっております。

出典:メタボリックシンドロームって何?(公益財団法人生命保険文化センター)

個人的には肥満解消の必要性を感じていない(正確には感じてはいるが行動を移すまでには至らない)点に大きな課題感を感じております。

Obesity in the Dog and Catという本には、ペットの肥満の原因の3%がペット固有の要因であり、97%がヒトによる要因であると書かれております。

このことからもペットの肥満問題を解消していくためには、私たちペットオーナーの意識と行動を大きく変えていかなければいけません。

出典:Obesity in the Dog and Cat

ではペットの肥満はなぜ問題であるのか、という点について説明します。 結論としては、肥満は寿命にダイレクトで影響を与えます。American Veterinary Medical Association の記事で、肥満のイヌは健康的な体重の犬に比べて、寿命が2.5年短くなることが発表されております。 これにはもちろん個体差があるので、肥満のイヌが全て短命であるということではないです。一方で、健康なイヌでも思わぬアクシデントで短命になってしまうこともあります。しかし、イヌの寿命における2.5年は非常にインパクトが大きいです。現在のイヌの平均寿命は犬種にもよりますが、14-15年程度と言われております。その中での2.5年です。 もし肥満であるが故に、15歳まで生きることができた愛犬が、13歳に満たずに亡くなってしまったら、絶対に後悔すると思います。長寿が全てとは言いませんが、ただでさえ短い命が更に短くなってしまうのはイヌにとっても幸せなことではないと思います。

出典:Study finds overweight dogs live shorter lives(American Veterinary Medical Association)

一方で、肥満解消はシンプルですが、簡単ではないと思います。ペットオーナーも無理をして肥満解消のために時間とお金を使って、ストレスフルな生活を送っていては、人にとっても、ペットにとっても幸せなライフスタイルとは言えません。自分自身のライフスタイルの中で無理をしない範囲で、継続的に取り組めるアクションを起こすべきだと思います。

私たちは予防医療の一環として、ペットのメタボ予防への取り組みにも力を入れております。Assotiation for Pet Obesity Preventionの記事にも書いてありますが、全ての獣医師がペットの肥満について詳しいわけではありません。栄養学や予防医療について学び・コミットできる獣医師を増やしていきたいと思います。世界的に大きな課題になりつつあるペットの肥満問題の解決に貢献していきたいと思います。


Purpose:

・人とペットが幸せに暮らせる社会をつくる

Vision:

・世界で最も影響力のあるAnimal Health Tech Companyになる

Mission:

・Think As One, Treat As One.

私たちは、 人とペットがともに生き、 ともに暮らし、信じ合い、 愛し愛される世界を創造します。 揺るぎない熱意と、 世界中の最先端獣医学テクノロジーによる 最良の動物医療を通じて 人とペットの幸せを実現します。

Share on

Contact

ご相談・ご質問など、お気軽にお問い合わせください

お問い合わせはこちら